『南仏プロヴァンスの木陰から』
ピーター・メイル
小梨直 訳
河出文庫
『南仏プロヴァンスの12か月』に続くピーター・メイルのプロヴァンスエッセイ。
1991年(日本語訳1993年)出版なので、著者がプロヴァンスに移住してから4、5年くらい。前作がプロヴァンスブームを引き起こしたことで不動産価格は爆上がりしているものの、トリュフを買いつけたり、山の上でピクニックしたり、ドッグ・ショーを見に行ったり、ワインやパスティスを試飲したり、食べたり飲んだりのカントリーライフが楽しく綴られている。
オランジェの古代劇場で開催されるパヴァロッティのコンサートなんて、とても豪華なセレブライフのようだが、彼が歌の間に食べているものを想像してコースメニューを考えてみたり、著者の文章にはユーモアがあり、変な気どりがない。
プロヴァンスが美しい場所だったことはもちろんだけど、世界的ベストセラーの一番の理由はこの文章のおもしろさだと思う。現在ではほぼ絶版になってしまっているのが残念。