『南仏プロヴァンスの木陰から』
ピーター・メイル
小梨直 訳
河出文庫
『南仏プロヴァンスの12か月』に続くピーター・メイルのプロヴァンスエッセイ。
1991年(日本語訳1993年)出版なので、著者がプロヴァンスに移住してから4、5年くらい。前作がプロヴァンスブームを引き起こしたことで不動産価格は爆上がりしているものの、トリュフを買いつけたり、山の上でピクニックしたり、ドッグ・ショーを見に行ったり、ワインやパスティスを試飲したり、食べたり飲んだりのカントリーライフが楽しく綴られている。
オランジェの古代劇場で開催されるパヴァロッティのコンサートなんて、とても豪華なセレブライフのようだが、彼が歌の間に食べているものを想像してコースメニューを考えてみたり、著者の文章にはユーモアがあり、変な気どりがない。
プロヴァンスが美しい場所だったことはもちろんだけど、世界的ベストセラーの一番の理由はこの文章のおもしろさだと思う。現在ではほぼ絶版になってしまっているのが残念。
プロヴァンスの人間を相手にしていると、どうも結局は料理か酒の話になってしまうようだ。
ブルゴーニュは高すぎてもう日本人にしか手が届かない。
飲み食いしながらの彼らの話題もまた、食べ物だった。
何しろ飲んでも死なないので、客が何度でも買いに来る。
ヌーディストがどこに千五百フランもの大金を持っているか、という疑問が目下、地元住民のあいだではささやかれています。
ただのメロンなのに、高級レストランではみんなけっこうな金を払って食べるわけだからね。
プロヴァンスに住みはじめてしばらくすると、何を買うにもまず短い講義を聞かなきゃいけないということがわかってくる。有機栽培のキャベツを買うときでも(二分)、ベッドを買うときでも(三十分か、背中の痛み具合によってはそれ以上)。ハチ取りの場合は、まあ、十分から十五分といったところかな。
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