『NHK100分de名著2021年10月 ヘミングウェイ スペシャル』
都甲幸治
NHK出版
卒論を『キリマンジャロの雪』で書いているのでヘミングウェイの作品はほぼ読んでいますが、『老人と海』はテーマが単純で深い読みのできない作品で、おもしろみもないので代表作のように言われているのはなんだかと思っておりました。
しかしながら、『100分de名著』の都甲さんの解説はすばらしく、「パパ・ヘミングウェイ」としてマッチョなイメージのあったヘミングウェイが、最近の研究では性的指向が曖昧であったり、決して強くはない人物であったこと、『老人と海』や『敗れざる者』など弱い者、負け続ける者をくりかえし書いていたこと、キューバを舞台にスペイン語を話す人々の物語であり、ラストに隠されたアメリカ批評など、新しい発見がたくさんありました。
とくにアメリカ文学の系譜、モダニズム文学の影響などからあらためてヘミングウェイを見るというのは勉強になりました。
最近ではフィッツジェラルドと比べると人気のないヘミングウェイですが、今こそ「男らしさ」という固定観念を引きはがして読み返してみるべきというのも納得です。
『美の巨人たち』という番組でムンクの『叫び』は「叫んでいるのではなく叫びを聞いているのだ」という解説を聞いて以来、絵を見るときには知識も必要だと思うようになり、美術展では必ず音声ガイドを借りて見るようにしています。
もちろん、なんの知識もなく、「これは好き、これは美しい」と感じることも大切だと思いますが、より楽しむためには背景を知っていたほうがいい。
今回の『100分de名著』は文学にも同じように解説があってもいいんだなと思いました。
都甲幸治
NHK出版
卒論を『キリマンジャロの雪』で書いているのでヘミングウェイの作品はほぼ読んでいますが、『老人と海』はテーマが単純で深い読みのできない作品で、おもしろみもないので代表作のように言われているのはなんだかと思っておりました。
しかしながら、『100分de名著』の都甲さんの解説はすばらしく、「パパ・ヘミングウェイ」としてマッチョなイメージのあったヘミングウェイが、最近の研究では性的指向が曖昧であったり、決して強くはない人物であったこと、『老人と海』や『敗れざる者』など弱い者、負け続ける者をくりかえし書いていたこと、キューバを舞台にスペイン語を話す人々の物語であり、ラストに隠されたアメリカ批評など、新しい発見がたくさんありました。
とくにアメリカ文学の系譜、モダニズム文学の影響などからあらためてヘミングウェイを見るというのは勉強になりました。
最近ではフィッツジェラルドと比べると人気のないヘミングウェイですが、今こそ「男らしさ」という固定観念を引きはがして読み返してみるべきというのも納得です。
『美の巨人たち』という番組でムンクの『叫び』は「叫んでいるのではなく叫びを聞いているのだ」という解説を聞いて以来、絵を見るときには知識も必要だと思うようになり、美術展では必ず音声ガイドを借りて見るようにしています。
もちろん、なんの知識もなく、「これは好き、これは美しい」と感じることも大切だと思いますが、より楽しむためには背景を知っていたほうがいい。
今回の『100分de名著』は文学にも同じように解説があってもいいんだなと思いました。
以下、引用。
文は短く。最初の段落は短く。気持ちの入った言葉を使え。自信を持って書け。逃げ腰になるな。
ムダな言葉は全部削れ。
「カンザスシティ・スター」紙 文体心得
モダニズム文学の中心人物であるガートルード・スタインは、アメリカのラドクリフ・カレッジという女子大学(当時はハーヴァード大学の提携校)で、ウィリアム・ジェイムズという心理学者の講義を受けていたのですが、彼の考え方が二十世紀文学に大きな影響を与えたと言われています。
それは、意識は常に流れており、その瞬間瞬間に何が起こっているかを克明に見ていくことが大事だというものです。彼に学んだスタインは、それを文学で表現するにはどうすればいいかと考え、シンプルな言葉で繰り返しが多いという文体を生み出しました。
不要なものはどんどん削ぎ落とすというヘミングウェイの文章は、裏を返せば書いてあることはすべて必要なものだということです。
文は短く。最初の段落は短く。気持ちの入った言葉を使え。自信を持って書け。逃げ腰になるな。
ムダな言葉は全部削れ。
「カンザスシティ・スター」紙 文体心得
モダニズム文学の中心人物であるガートルード・スタインは、アメリカのラドクリフ・カレッジという女子大学(当時はハーヴァード大学の提携校)で、ウィリアム・ジェイムズという心理学者の講義を受けていたのですが、彼の考え方が二十世紀文学に大きな影響を与えたと言われています。
それは、意識は常に流れており、その瞬間瞬間に何が起こっているかを克明に見ていくことが大事だというものです。彼に学んだスタインは、それを文学で表現するにはどうすればいいかと考え、シンプルな言葉で繰り返しが多いという文体を生み出しました。
不要なものはどんどん削ぎ落とすというヘミングウェイの文章は、裏を返せば書いてあることはすべて必要なものだということです。
ドロシー・パーカー
ゾラ・ニール・ハーストン
ユードラ・ウェルティ
フラナリー・オコナー
そもそも文学は、国を単位に成り立っているものではないのです。
『移動祝祭日』で見たように、アメリカの作家、アイルランドの作家、フランスの作家や詩人がパリにいて、日常的に会って話しながら、「文学とは何か? 芸術とは?」と議論しモダニズム運動をおこしていた。
ゾラ・ニール・ハーストン
ユードラ・ウェルティ
フラナリー・オコナー
そもそも文学は、国を単位に成り立っているものではないのです。
『移動祝祭日』で見たように、アメリカの作家、アイルランドの作家、フランスの作家や詩人がパリにいて、日常的に会って話しながら、「文学とは何か? 芸術とは?」と議論しモダニズム運動をおこしていた。
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