
『木挽町のあだ討ち』
永井紗耶子
新潮社
読んでから見るか、見てから読むか、少し迷いましたが待ちきれなくて読んでしまいました。
江戸・木挽町。芝居小屋の前で美しい若者によって成し遂げられた仇討ち。2年後に現れた武士が仇討ちを目撃したという芝居小屋の人々に話を聞いてまわる。
ひとつの事件を複数の視点から語るという『羅生門』スタイル。ただ、ここで中心となるのは仇討ちではなく、芝居小屋に流れ着いた人々の半生。これがメインである仇討ちよりもおもしろい。
時代小説自体をあまり読みつけないのですが、芝居に疎い聞き手の武士に語り手が説明してくれるという手法なので、とてもわかりやすい。
そして田沼意次や松平定信の名前が出てくるので、『べらぼう』と同じ元禄時代なんですね。吉原とか花魁道中なんかも出てくる。
映画の予告編やポスターで仇討ち場面はすでに見ることができますが、華やかな舞台なども映像化されるのが楽しみです。
複数の語り手という構成によって、芝居小屋を中心とした人間模様や元禄時代の華やかさが立ち現れてくるところがこの小説のおもしろさだと思います。そのまま映画にはできないので、これがどう料理されるのか。
ひとりひとりの物語が、それぞれ別の小説が一本できてしまうほど濃すぎるので、これも映画ではだいぶ端折ることになると思いますが、芸達者な配役なので、みなさん過去の背景を感じさせる演技をしてくれるんじゃないかと期待します。
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