2022/02/13

『富士日記(中)』

富士日記(中)-新版 (中公文庫)

『富士日記(中)』

武田百合子
中公文庫

上巻を読んだのが2020年1月なので約2年ぶり。年末年始に山梨に持っていったものの読み終わるのに1ヵ月以上かかってしまった。
日記なのでたらたら読んでもいいのですが、図書館の返却期限も過ぎてしまったので後半はほぼ一気読みでもったいない感じ。

『富士日記』のおもしろさはなんだろう。あとから推敲してあるだろうとは思うのだが、基本的には人様の日記。日々の買い出しの記録と、食事の記録(これが地味ながらおいしそう)、別荘の暮らしなので「ていねいな暮らし」というよりは散歩、家事のあいまに原稿を出しに行ったり、河口湖に遊びに行ったりするくらいで、静かな淡々した日常であるが、百合子さんの性格なのか、あまり淡々という感じでもない。

夕陽に向って踊ってみたり、感動すると体操してみたりする百合子さんのユニークさ。観察眼や言葉の選び方の新鮮さ。

上巻は別荘を建てたばかりで、新しい生活や近所の人との交流が中心だったけれど、中巻では週末ごとの行き来にも慣れ、季節の移ろいがそのまま記録されている感じ。でもこれが退屈しないんだよなあ。

50年前の日記なので別荘のあたりもだいぶ変わっていると思うが(別荘自体はすでに取り壊されている)、一度ゆっくり巡ってみたい。

2022/02/06

『星から来たあなた』



 400年前に地球にやってきた宇宙人とスター女優のラブ・コメディ。

チョン・ジヒョンめあてで見始めましたが、キム・スヒョンくんのかわいいこと!

いつもは冷たく「出ていけ」とか言っているのに、彼女の言動に心が動かされると目の動きなどちょっとした表情で動揺をあらわしているのがうまい。普段クールなぶん、ふと見せる笑顔がとても良い。「ツンデレ演技」と評されてますが、彼はこれをちゃんと計算して演技してますね。

7話のラストなどチョン・ソンイならずとも恋に落ちるかっこよさ。

ドラマでも少女マンガでも、この「あー、わかる、これは好きになっちゃうよね」という共感を描けるかってすごく大事なポイントだと思うんですよね。ただただかっこいいでも、危ないところを助けてくれたでも、単純な理由でいいんです。この共感があるから、そのあとの涙や喜びも共感できる。

対するチョン・ジヒョンもあいかわらずのかわいさ。こんな自分勝手なヒロイン、振り回されるほうは大変だと思うんだけど、彼女が演るとそれが魅力になる。

日本版リメイクがあるらしいですが、この2人のキャラクターがあってこそ成り立つドラマなので誰がやってもオリジナル超えは難しい。

フィギョンやセミ、悪役兄さんなど、まわりの配役も魅力的。脚本は『愛の不時着』も手がけているヒットメーカー、パク・ジウン。しばらく韓国ドラマを追いかけてみたいです。

『星から来たあなた』

2022/01/30

『ジェンダーについて大学生が真剣に考えてみた』

ジェンダーについて大学生が真剣に考えてみた――あなたがあなたらしくいられるための29問

『ジェンダーについて大学生が真剣に考えてみた
――あなたがあなたらしくいられるための29問』
一橋大学社会学部佐藤文香ゼミ生一同
明石書店

「専業主婦になりたい人もいるよね?」「女性も『女らしさ』を利用しているよね?」「どうしてフェミニストは萌えキャラを目の敵にするの?」といった疑問を考えながら、男女平等、セクシャル・マイノリティ、フェミニズム、性暴力について学んでいく。

ジェンダーを学ぶ大学生が、友人や知人からよく投げかけられる質問にいかに答えるべきかというところから始まったそうで、とてもわかりやすく、ジェンダー入門書として最適の一冊。
(上野千鶴子をはじめ、社会学って文体がそもそも読みにくい。)

個人的には最近知った「アセクシャル」という言葉についての回答がなかなか目から鱗でした。
私の世代は、少女マンガ、歌謡曲、テレビドラマ、ファッション雑誌など、どれをとっても恋愛至上主義。
「恋愛して結婚して子供をもって幸せな家庭を築く」という「ロマンティック・ラブ・イデオロギー」がひとつの理想として語られてきたわけですが、もしかしたらそれは経済的、商業的に洗脳されていたのかもしれません。
「人を愛すること、愛されることはすばらしい」ということには今でも疑問をもちませんが、それがすべてじゃないし、そうじゃない人もいるよね、と考えてみることも必要なのだと思いました。

一橋大学では2015年にゲイであることを友人に公表された男子学生が自殺するという事件が起きており、この「アウティング」についてもページが設けられています。
どうするのが正しかったか、簡単に答えはでませんが、セクシャル・マイノリティへの理解が周囲にあれば、また違う結果があり得たかもしれません。
ジェンダーについて、一方的な論理の展開ではなく、一緒に考えてみるという姿勢が全体に貫かれているのもよいと思います。

『夫婦別姓』

夫婦別姓 ――家族と多様性の各国事情 (ちくま新書)

『夫婦別姓 ――家族と多様性の各国事情』
栗田路子、冨久岡ナヲ、プラド夏樹、田口理穂、片瀬ケイ、斎藤淳子、伊東順子
ちくま新書

2021年の衆議院選挙のときに争点のひとつとなった「選択的夫婦別姓」。結果としては、すぐに夫婦別姓を推進するほどの票差ではなく、まだまだ道のりは遠いなと感じました。

私が20代のころは「あんたが結婚するころには夫婦別姓が選べるようになってる」と言われたのですが、結婚もしなかったけど、夫婦別姓も実現してないですね。

当時の同級生たちは次々と結婚して名前が変わり、すでに結婚後の苗字のほうが長くなっている人も。彼女たちに葛藤があったのかなかったのかは知りませんが、年賀状とかくるたびに旧姓も書いてくれないと誰が誰だかすぐにはわかんないなと思っておりました。

そんななかで一人、イギリス人と結婚した友人は私と同じ苗字だったんですが、チアキ・ヒラノ・カンバーバッチみたいな名前になっていて(適当なネーミングですみません)、旧姓を捨てることなく、新しい名前というのが新鮮でした。

1980年代ごろから2000年代にかけて各国とも法律を変更しており、今では夫婦同姓を法律で規定しているのはなんと日本だけ。
本書では、イギリス、アメリカ、フランス、ベルギー、ドイツ、中国、韓国とそれぞれの国で暮らすライターたちが各国の現状をレポートしています。

結婚しようがしまいが名前が変わることのない中国、韓国、ベルギー。結婚と関係なく好きなように名前を変更できるイギリス。別姓、連結姓のほか、好きな苗字を作ってしまえるアメリカ。

男尊女卑ゆえに母や娘は父系の姓を継ぐことがなく、結果的に別姓であった中国。宗教的な理由などで男性側の姓を名乗る率がまだまだ高い国など、歴史的な経緯もさまざま。
そもそも父系側の姓を男子が継ぐのも、相続されるべき土地や財産があり、相続によって分散させないために名前ごと受け継がれた時代の話。

離婚や再婚などで父親、母親、子供、全員の姓が違うなんていうのが当たり前の国もあったり。「同じ苗字=家族の絆」なんて考えがいかにばからしいか。

最終章の座談会では、経済、法律、政治の分野から選択的夫婦別姓の実現について検証しているんですが、なかなか進まない現状が見えてきて、まだそんなことやってるのかという気分になります。

2022/01/26

『ラヴソング』

 『ハリー・ポッター』同窓会のためにU-NEXTに登録してみたところ、『ラヴソング』が配信されていたので思わず見てしまう。

もう2、3回見てると思うんだけど、10年にわたる男女の恋模様、変わりゆく香港、随所で流れるテレサ・テン、この構成がうまくて、なんか好きなんですよね。

『グッバイ・マイ・ラブ』の使い方とか、ラストとか、何度見ても良い。

1996年の公開作。今見ると中国返還前の「私たちこれからどうなるの」という不安感、この後低迷する香港映画ラストのきらめきも感じられます。

2022/01/16

『クララ白書I』

クララ白書I (集英社コバルト文庫)

『クララ白書I』
氷室冴子
集英社コバルト文庫

某所で『クララ白書』の名前を聞いて、「どんな話かほとんど忘れたけどドーナツ揚げてたよね」と盛り上がり、再読してみたいと調べたのですが、現在普通に手に入るのは2001年のコバルト文庫新装版のみ(それも紙の本は絶版のようでKindle版のみ)。

こちらは氷室冴子自身によって1996年に加筆修正されていて、携帯やネットなど「現代風」に多少変更されているようです。

オリジナルは1980年発売。オサムグッズの偽物みたいな表紙だと思ったら原田治本人でした。こっちが読みたかったんだけど図書館にも2001年版しかなかったです。
(2001年版表紙イラストは谷川史子。意外と中のイラストも雰囲気あってました。)

加筆修正されていることもあるかもしれませんが、今読んでも普通に読みやすくておもしろい。恋愛とかほとんど関係なく(ボーイフレンドが出てくる程度。ボーイフレンドだよ!)、女の子たちがただわちゃわちゃしている感じが、古き良きコバルト感。

吉屋信子とか古事記とか文中に出てきますが、氷室冴子という人は古典や海外の少女小説、少女漫画への憧れをベースに「コバルト文庫」という新しい少女小説を作り上げた人なんだなあと今更ながら思いました。もちろん彼女一人ではなかったけれど、氷室冴子やコバルト文庫がなかったら、今に続くライトノベルや「なろう系」なんかもなかったのではないかと。

2022/01/02

『イルマーレ』

 

  全日本フィギュアを見るためにFODに登録したのでちょこちょこ動画を見てます。配信って便利だな。

『イルマーレ』は2000年公開作なのでもう20年も前。『シュリ』とか韓国映画が話題になり始めたころですね。

『猟奇的な彼女』のチョン・ジヒョン主演。サンドラ・ブロック主演でハリウッドリメイクもされてます。

今見るとタイム・パラドックスとしてはいろいろ難ありなんですが、シャレオツ過ぎる映像とチョン・ジヒョンはやっぱり綺麗だなというのと、海辺の家がじつは孤独の象徴でもあるんだなと。なんだかんだ好きな作品です。