2022/02/23

『ハリー・ポッター20周年記念:リターン・トゥ・ホグワーツ』

これが見たくてU-NEXTに登録したのに香港映画や韓国ドラマにうつつをぬかし、そろそろトライアル期間が終了してしまうのでやっと見ましたハリポタ同窓会。

内容自体はもうネット上に公開されているのでそれほど驚きはありませんが、エマがトムに恋したときの話、ダニエルがヘレナに送ったラブレター、ダンスシーンやキスシーンの苦労話、そしてルパートが「僕たちは家族だ」という場面はやっぱり感動的です。

全体的にはちょっと綺麗にまとめすぎている感もあるのと、シェーマスたちの出番が少ないのはもったいない気もします。

グリフィンドール談話室だけでなく、スリザリンとかグリンゴッツ銀行とか魔法学の教室とか、どうやって撮影しているのかと思ったら、ハリー・ポッター・スタジオ・ツアー・ロンドンのセットで撮っているみたいですね。これはたしかにちょっと行ってみたい。

『ハリー・ポッター20周年記念:リターン・トゥ・ホグワーツ』

『韓流スターと兵役』

韓流スターと兵役 あの人は軍隊でどう生きるのか (光文社新書)

『韓流スターと兵役 あの人は軍隊でどう生きるのか』
康熙奉
光文社新書

『星から来たあなた』のキム・スヒョンのプロフィールをチェックしていたら、『星から来たあなた』(2013年)のあと『プロデューサー』(2015年)に出演。2017年から2019年まで兵役。除隊後、『サイコだけど大丈夫』(2020年)で復帰、とありました。

ああ、韓国には兵役があるのだったと、前から気になっていたこちらを読んでみました。

最近だとBTSの兵役が問題になっていますが、こちらは2016年出版なので東方神起あたりの話が出てきます。

韓国の男子は高校を卒業すると徴兵検査を受け、おそくとも30歳までには入隊。21〜24ヵ月の兵役を務め除隊。除隊後も40歳までは毎年数時間の訓練に参加しなければならない。

「ファンにできるのは信じて待つことです」みたいなトーンがちょっと疲れるのと、兵役のシステムはよくわかったけれど、もう少し感情的な辛さの部分が詳しく知りたかった。
(兵役に行く韓国の学生と日本人の彼女の恋愛を描いたコミック『フォーナイン』では、前日まで彼女とイチャイチャ過ごしていた大学生が軍隊に放り込まれる衝撃がよくわかるので、ここらへんをもっと知りたい。)

『ブラザーフッド』(2004年)の監督がインタビューで「韓国の俳優は兵役の経験があるので銃の扱いには慣れています」とさらっと答えていて、そのさらっと感にびっくりしたことがあります。出演していたウォンビンが記者会見で「いつ兵役に行くのか」と質問され(この質問もすごいプレッシャー)、「今回の撮影はよい予行練習になりました」と答えていたり、スター俳優とはいえ兵役がついて回るのかと。
(この本によるとウォンビンはその後2005年に入隊、怪我をして半年で除隊するものの、復帰したのは2009年『母なる証明』。)

文中に出てくるヒョンビンの前向きすぎる入隊インタビューにもちょっと驚きます。彼は除隊後、北朝鮮の軍人を演じた『愛の不時着』が大ヒットしているので、軍隊経験が生かされているとも言えますが。

また、「軍隊はどこに行ってきたのか」が男同士の挨拶代わりになるとか、兵役に行っていないと一人前の男とみなされないあたり、ホモソーシャル的な土壌も感じました。

2022/02/14

『ヘミングウェイ スペシャル』

ヘミングウェイ スペシャル 2021年10月 (NHK100分de名著)

『NHK100分de名著2021年10月 ヘミングウェイ スペシャル』
都甲幸治
NHK出版

卒論を『キリマンジャロの雪』で書いているのでヘミングウェイの作品はほぼ読んでいますが、『老人と海』はテーマが単純で深い読みのできない作品で、おもしろみもないので代表作のように言われているのはなんだかと思っておりました。

しかしながら、『100分de名著』の都甲さんの解説はすばらしく、「パパ・ヘミングウェイ」としてマッチョなイメージのあったヘミングウェイが、最近の研究では性的指向が曖昧であったり、決して強くはない人物であったこと、『老人と海』や『敗れざる者』など弱い者、負け続ける者をくりかえし書いていたこと、キューバを舞台にスペイン語を話す人々の物語であり、ラストに隠されたアメリカ批評など、新しい発見がたくさんありました。

とくにアメリカ文学の系譜、モダニズム文学の影響などからあらためてヘミングウェイを見るというのは勉強になりました。

最近ではフィッツジェラルドと比べると人気のないヘミングウェイですが、今こそ「男らしさ」という固定観念を引きはがして読み返してみるべきというのも納得です。

『美の巨人たち』という番組でムンクの『叫び』は「叫んでいるのではなく叫びを聞いているのだ」という解説を聞いて以来、絵を見るときには知識も必要だと思うようになり、美術展では必ず音声ガイドを借りて見るようにしています。
もちろん、なんの知識もなく、「これは好き、これは美しい」と感じることも大切だと思いますが、より楽しむためには背景を知っていたほうがいい。
今回の『100分de名著』は文学にも同じように解説があってもいいんだなと思いました。

2022/02/13

『富士日記(中)』

富士日記(中)-新版 (中公文庫)

『富士日記(中)』

武田百合子
中公文庫

上巻を読んだのが2020年1月なので約2年ぶり。年末年始に山梨に持っていったものの読み終わるのに1ヵ月以上かかってしまった。
日記なのでたらたら読んでもいいのですが、図書館の返却期限も過ぎてしまったので後半はほぼ一気読みでもったいない感じ。

『富士日記』のおもしろさはなんだろう。あとから推敲してあるだろうとは思うのだが、基本的には人様の日記。日々の買い出しの記録と、食事の記録(これが地味ながらおいしそう)、別荘の暮らしなので「ていねいな暮らし」というよりは散歩、家事のあいまに原稿を出しに行ったり、河口湖に遊びに行ったりするくらいで、静かな淡々した日常であるが、百合子さんの性格なのか、あまり淡々という感じでもない。

夕陽に向って踊ってみたり、感動すると体操してみたりする百合子さんのユニークさ。観察眼や言葉の選び方の新鮮さ。

上巻は別荘を建てたばかりで、新しい生活や近所の人との交流が中心だったけれど、中巻では週末ごとの行き来にも慣れ、季節の移ろいがそのまま記録されている感じ。でもこれが退屈しないんだよなあ。

50年前の日記なので別荘のあたりもだいぶ変わっていると思うが(別荘自体はすでに取り壊されている)、一度ゆっくり巡ってみたい。

2022/02/06

『星から来たあなた』



 400年前に地球にやってきた宇宙人とスター女優のラブ・コメディ。

チョン・ジヒョンめあてで見始めましたが、キム・スヒョンくんのかわいいこと!

いつもは冷たく「出ていけ」とか言っているのに、彼女の言動に心が動かされると目の動きなどちょっとした表情で動揺をあらわしているのがうまい。普段クールなぶん、ふと見せる笑顔がとても良い。「ツンデレ演技」と評されてますが、彼はこれをちゃんと計算して演技してますね。

7話のラストなどチョン・ソンイならずとも恋に落ちるかっこよさ。

ドラマでも少女マンガでも、この「あー、わかる、これは好きになっちゃうよね」という共感を描けるかってすごく大事なポイントだと思うんですよね。ただただかっこいいでも、危ないところを助けてくれたでも、単純な理由でいいんです。この共感があるから、そのあとの涙や喜びも共感できる。

対するチョン・ジヒョンもあいかわらずのかわいさ。こんな自分勝手なヒロイン、振り回されるほうは大変だと思うんだけど、彼女が演るとそれが魅力になる。

日本版リメイクがあるらしいですが、この2人のキャラクターがあってこそ成り立つドラマなので誰がやってもオリジナル超えは難しい。

フィギョンやセミ、悪役兄さんなど、まわりの配役も魅力的。脚本は『愛の不時着』も手がけているヒットメーカー、パク・ジウン。しばらく韓国ドラマを追いかけてみたいです。

『星から来たあなた』

2022/01/30

『ジェンダーについて大学生が真剣に考えてみた』

ジェンダーについて大学生が真剣に考えてみた――あなたがあなたらしくいられるための29問

『ジェンダーについて大学生が真剣に考えてみた
――あなたがあなたらしくいられるための29問』
一橋大学社会学部佐藤文香ゼミ生一同
明石書店

「専業主婦になりたい人もいるよね?」「女性も『女らしさ』を利用しているよね?」「どうしてフェミニストは萌えキャラを目の敵にするの?」といった疑問を考えながら、男女平等、セクシャル・マイノリティ、フェミニズム、性暴力について学んでいく。

ジェンダーを学ぶ大学生が、友人や知人からよく投げかけられる質問にいかに答えるべきかというところから始まったそうで、とてもわかりやすく、ジェンダー入門書として最適の一冊。
(上野千鶴子をはじめ、社会学って文体がそもそも読みにくい。)

個人的には最近知った「アセクシャル」という言葉についての回答がなかなか目から鱗でした。
私の世代は、少女マンガ、歌謡曲、テレビドラマ、ファッション雑誌など、どれをとっても恋愛至上主義。
「恋愛して結婚して子供をもって幸せな家庭を築く」という「ロマンティック・ラブ・イデオロギー」がひとつの理想として語られてきたわけですが、もしかしたらそれは経済的、商業的に洗脳されていたのかもしれません。
「人を愛すること、愛されることはすばらしい」ということには今でも疑問をもちませんが、それがすべてじゃないし、そうじゃない人もいるよね、と考えてみることも必要なのだと思いました。

一橋大学では2015年にゲイであることを友人に公表された男子学生が自殺するという事件が起きており、この「アウティング」についてもページが設けられています。
どうするのが正しかったか、簡単に答えはでませんが、セクシャル・マイノリティへの理解が周囲にあれば、また違う結果があり得たかもしれません。
ジェンダーについて、一方的な論理の展開ではなく、一緒に考えてみるという姿勢が全体に貫かれているのもよいと思います。

『夫婦別姓』

夫婦別姓 ――家族と多様性の各国事情 (ちくま新書)

『夫婦別姓 ――家族と多様性の各国事情』
栗田路子、冨久岡ナヲ、プラド夏樹、田口理穂、片瀬ケイ、斎藤淳子、伊東順子
ちくま新書

2021年の衆議院選挙のときに争点のひとつとなった「選択的夫婦別姓」。結果としては、すぐに夫婦別姓を推進するほどの票差ではなく、まだまだ道のりは遠いなと感じました。

私が20代のころは「あんたが結婚するころには夫婦別姓が選べるようになってる」と言われたのですが、結婚もしなかったけど、夫婦別姓も実現してないですね。

当時の同級生たちは次々と結婚して名前が変わり、すでに結婚後の苗字のほうが長くなっている人も。彼女たちに葛藤があったのかなかったのかは知りませんが、年賀状とかくるたびに旧姓も書いてくれないと誰が誰だかすぐにはわかんないなと思っておりました。

そんななかで一人、イギリス人と結婚した友人は私と同じ苗字だったんですが、チアキ・ヒラノ・カンバーバッチみたいな名前になっていて(適当なネーミングですみません)、旧姓を捨てることなく、新しい名前というのが新鮮でした。

1980年代ごろから2000年代にかけて各国とも法律を変更しており、今では夫婦同姓を法律で規定しているのはなんと日本だけ。
本書では、イギリス、アメリカ、フランス、ベルギー、ドイツ、中国、韓国とそれぞれの国で暮らすライターたちが各国の現状をレポートしています。

結婚しようがしまいが名前が変わることのない中国、韓国、ベルギー。結婚と関係なく好きなように名前を変更できるイギリス。別姓、連結姓のほか、好きな苗字を作ってしまえるアメリカ。

男尊女卑ゆえに母や娘は父系の姓を継ぐことがなく、結果的に別姓であった中国。宗教的な理由などで男性側の姓を名乗る率がまだまだ高い国など、歴史的な経緯もさまざま。
そもそも父系側の姓を男子が継ぐのも、相続されるべき土地や財産があり、相続によって分散させないために名前ごと受け継がれた時代の話。

離婚や再婚などで父親、母親、子供、全員の姓が違うなんていうのが当たり前の国もあったり。「同じ苗字=家族の絆」なんて考えがいかにばからしいか。

最終章の座談会では、経済、法律、政治の分野から選択的夫婦別姓の実現について検証しているんですが、なかなか進まない現状が見えてきて、まだそんなことやってるのかという気分になります。