2022/11/18

『ポリアンナの青春』

ポリアンナの青春 (岩波少年文庫)

『ポリアンナの青春』
エリナー・ポーター
訳 谷口由美子
岩波少年文庫

『少女ポリアンナ』の続編。原題は『POLLYANNA GROWS UP』。
前半はポリアンナ in ボストン。コモンウェルス街とかボストン公立公園の描写が素敵でボストンはいつか行ってみたい。
「あたしは、公園にいられて、それ以外にすることがなかったら、どんなにいいかと思うわ。」
後半は6年後、ポリアンナ20歳。
みんながみんな自分の好きな人は別の人が好きと勘違いしているあたり、ほとんどラブコメディ。エリナー・ポーターは恋愛小説も書いていたそうなのですが、いろいろ無理やりハッピーエンド。
貧富の差や若い女性の労働問題などが出てくるのは当時の社会情勢によるものでしょうか。
後半も含めて『喜ぶゲーム』の限界というか、ゲームでは解決できない問題も提示されています。
ポリーおばさんの言う「もっと悪いことがあるかもしれない(それよりは私は幸せ)、という考え方は気に入らない」と言うのも真理。というか、ポリーおばさんも幸せにしてあげて。
「美人じゃないって?」
「あるわけないわ。鏡を見ればわかるじゃないの。」
「ねえ、ポリアンナ、きみは自分がしゃべっているときの顔を、鏡で見たことがあるかい?」

以下、引用。

68
「ああ、カルーおばさま、あたしたちって、ただ一日ずつ生きていけばいいので、それがうれしいわね!」

89
「あたしは、公園にいられて、それ以外にすることがなかったら、どんなにいいかと思うわ。」

94
「世の中でいちばんさびしいところは、都会の群集の中だってことをよ。」
「あたしも、今日はずっとさびしかったの。まわりには人があんなにたくさんいたのに。でも、なんだかだれも──あたしのことなんか──考えもしないし、気づきもしなかったみたいで。」
「その通り。みんな、考えもしないし──気づきもしないの。群集って、そういうものよ。」

164
本はたいしてありません──ほんの十冊あまりです。シェイクスピアの戯曲、『アイヴァンホー』、何度もめくったあとがある『湖上の美人』、詩集、表紙のとれた『テニスン詩集』、ぼろぼろになった『小公子』、それから、古代、中世の歴史の本がニ、三冊。

180
「でも、あたしにはなんだかよくわからないことがあるの。ここにはこんなにたくさんすてきなものがあるというのに、どうして、あの人たちはほとんど何も持っていないのかしら。」

270
「ねえ、ポリアンナ、きみは自分がしゃべっているときの顔を、鏡で見たことがあるかい?」

323
「ポリアンナ、小説家が奏でる楽器は、この世にある美しい心という楽器なんだと思う。」

371
「世の中にゃ、おじょうさんの『喜ぶゲーム』なんか役にたたない人たちがいるんですよ。けんかした恋人同士とかね!」

379
「ええ、いいゲームですとも。でも、あなたのやり方はちょっと度を越しているような気がしますよ。『もっと悪いことがあるかもしれない』という考え方は、わたしは気に入らないね。」


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