『人斬り以蔵』
司馬遼太郎
新潮文庫
一ノ関に行くときに時代小説かつ短編集ということで選んでみました。
(一ノ関だけに『義経』というのも考えたけど上下巻だったので断念。)
『鬼謀の人』大村益次郎
『人斬り以蔵』岡田以蔵
『割って、城を』古田織部
『言い触らし団右衛門』塙直之
『美濃浪人』所郁太郎
『売ろう物語』後藤基次
戦国時代や幕末の有名無名の志士たちを描いた短編集。
私は日本史の中でも戦国時代、幕末は特に苦手なこともあり、岡田以蔵すら知りませんでしたが、人物造形や出来事などは司馬遼太郎が作り上げたものだと思われるので史実はあまり関係ない。
才覚がありながら時代のタイミングがあわず、歴史の中に消えていった人々をあえて選んでいるような気がします。
大村益次郎は靖国に銅像があるのでなんとなく日中日露戦争の頃の人のイメージでしたが戊辰戦争でしたね。
癖のある登場人物が多いなか、普通の人が歴史に立ち会ってしまった感のある『おお、大砲』がいちばんおもしろかったかな。
以下、引用。
270
「わが父はたれじゃ」
ときいた。母は、ふしぎな質問にあきれ、
「父に名などあるものか」
と大真面目で叱った。
480
「私は、ひとつのことを書くときに、その人間の顔だとか、その人間の立っている場所だとか、そういうものが目の前に浮かんでこないと、なかなか書けないのです。たとえば秀吉のところに一人の使者がやってくる。そのとき秀吉の前に、小説には書かなくても、どのくらいの人数がいたか、空は晴れていたかどうか、その付近に松林があるが、それは若松で鮮やかな色をしていたかどうか、というようなことが気になるのです」
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