2023/11/15

『蕨ケ丘物語』

蕨ケ丘物語 (コバルト文庫)

『蕨ケ丘物語』
氷室冴子
コバルト文庫

図書館でやっていた古本市で見つけた拾い物。
氷室冴子、1984年の作品。
北海道の田舎町、蕨ヶ丘の名家、権藤家の姉妹たち、大奥様である小梅おばあちゃんの物語。
当時何度か読んでいるし、山内直実によるコミック版も読んでるので懐かしく再読しました。
「頭がピーマン」とか「蛍光芳香ペン」とか、ボーイフレンドの顔を「ひと昔前の寺尾聰」と評したり、時代だなあ。
氷室冴子ってこういう「田舎町の名家のお嬢様」みたいな世界観をつくるのがほんとにうまかったんだなとあらためて思う。一種のファンタジーだよね。
『クララ白書』を再読したときに妹とこの『蕨ヶ丘物語』の話も出て、「おばあちゃんが『舞踏会の手帖』をするのをよくおぼえている」と言ってたんだけど、今読んでもこの話がいちばんおもしろい。
あとがきで氷室冴子が
「小梅おばあちゃんなんて、あれは理想そのものだな。
あれはきっと、五十年後の私の姿じゃないかしらんなんて、ひとりで悦に入ってるんです。そう、思いません?」
と書いていて、ちょっとしんみりする。
巻末のコバルトシリーズ目録には田中雅美、久美沙織、新井素子ら当時のおなじみのメンバーのほか
佐藤愛子『青春はいじわる』
南英男『ペパーミント・ラブ』
片岡義男『こちらは雪だと彼女に伝えてくれ』
アーシュラ・K・ル・グイン『ふたり物語』
風見潤・編『海外ロマンチックSF傑作選 たんぽぽ娘』
などが並んでいてラインナップの豊富さにびっくりします。

以下、引用。

203
あたしゃ、こう見えても、大正一年生まれなんだよ。明治生まれじゃないんだからね。
昭和の初めにモダンガール、モガと言われたのは、このあたしの世代なんだ。

ヘリオトロップの香水を漂わせて資生堂パーラーに行って、アイスクリンを食べたねぇ。

粋な黄八丈をシャリッと着こなして浅草に出かけ、水飴をなめながら夜間遊園地(ルナパーク)で見世物を見たものさ。花屋敷遊園地で、メリイ・ゴオ・ラウンドにも乗ったねえ。

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