
『アラビアン・ナイト 上』
ディクソン 編
中野好夫 訳
岩波少年文庫
ディクソン 編
中野好夫 訳
岩波少年文庫
今さら世界史の勉強をとろとろとやっているんですが、中東、アッバース朝の時代、ハールーン=アッラシードが『千夜一夜物語(アラビアン・ナイト)』の登場人物だということで、読んでみることにしました。
上巻に収録されているのは『船乗りシンドバッドの1回目の航海』から『〜7回目の航海』、『アラジンと魔法のランプ』など、10編。
『アラビアン・ナイト』は小学生くらいのときに子供向けのものを読んだことがありますが、ちゃんと読むのは初めて。
あれ? 『アラジン』ってこんな話だったけ?
民話ということもあり、『アラジンと魔法のランプ』にもいろんなバージョンがあるらしいのですが、ここに収録されているのは、アラジンが悪い魔法使いに騙されるものの、魔法のランプを手に入れ、魔法のランプの力を使ってお姫様と結婚する物語。一目惚れしたお姫様に求婚する過程に話の大半が使われています。
この岩波少年文庫版の編者はE・ディクソン。イギリスの1951年出版を訳したものです。
日本語訳初版は1959年。新版は2001年出版。
前書きによると、ディクソン版の原本はガランのフランス語訳(1821年出版)。
そもそも『千夜一夜物語』はこのガランのフランス語訳でヨーロッパでブームになり、そのとき収録されていたのが264編。
1001編の物語が実際にあると信じられ、あちこちから説話が集められ、追加され、『アラジンと魔法のランプ』も『シンドバッドの冒険』も『アリババと四十人の盗賊』も最初のアラビア語の写本にはなかったそうです。
今まで私が『アラビアン・ナイト』だと信じていたものは、フランス人によってヨーロッパで作られたものだったわけですね。なんてこった!
アラジンは「シナの少年」となっているんですが、舞台が中国とは思えない。ヨーロッパから見ると、中国もペルシアもひっくるめてオリエンタルで同じようなものなのかもしれません。
なので、物語の価値観が中東のものなのか、ヨーロッパが反映されているものなのか、よくわかりませんが、アラジンもペルシアの王様も一目惚れしたお姫様に勝手に入れ上げ、豪華な贈り物をしてほとんど自分勝手に求婚するあたり、金さえあればなんでも手に入るというか、権力を財宝の量で示しているようなところがあり、なかなかドン引きします。
物語だというのもあるけれど、財宝がわかりやすく、宝石や奴隷で表現されるのもなんだか。
(233ページ)
中には、ハトの卵くらいもある大きなダイヤモンドが三百個、これも驚くほど大きなルビーと、長さ十五センチばかりもある棒型エメラルドが、それぞれやはり三百個ずつ、まだそのほかに三メートルもある真珠の首飾りが三十本などが、ぎっしりつまっています。
お姫様にしたところで、すごい美人という以外はどこがいいのかよくわからず、求婚してきた男が気に入らず魔法をかけるかと思えば、父王が結婚しろといえば素直に従う。うーん、これがイスラムなのか?
あと『アラジン』もそうなんですが、よくわからないところで話が長い。
魔法のランプをあっさり手に入れたかと思うと、お姫様に求婚するためにアラジンの母親がお城に通う話が延々と続く。
『ベーデル王とジャウワーラ姫』にいたっては、ベーデル王は鳥にされたり、船が沈没して魔女が支配する国にたどりついたり、(この魔女、気に入った男を40日間もてなして、飽きると動物にするって怖いんですけど。なんのメタファー?)、話があっちこっちへ跳びます。
これはいろんな民間伝承が合成された結果なのかなあ。
というわけで苦戦しながら読んでます。下巻はどうかな。
以下、引用。
21
帰りの積荷は、沈香、白檀、樟脳、にくずく、ちょうじ、胡椒、生姜などでした。
117
アラジンは、おじさんのこの気前のよさに、すっかり有頂天になってしまい、とりあえず一着えらび出しますと、魔法使いは、すぐとそればかりか、そのほか入用のものはすべてそろえて買い、値切りもしないで、代金を払いました。
120
家というよりは、宮殿のような家ばかりで、みんなまわりには、だれでも自由にはいれる美しい庭園がついています。
庭と庭とのさかいは、ただ細井溝があるだけで、それが地面のさかい目にはなっていますが、もちろん往き来は自由です。この辺の人たちは、みんなよほど信用し合っているらしいのです。
137
果実というのは、みんな太陽のように輝く宝石でしたが、アラジンばかりでなく、おかあさんも、値打ちのことなどてんでわかりませんので、ほとんど気にもとめませんでした。
199
わたしたちが見たあの富の持主であるアラジンが、こんな早く宮殿を建てたからといって、なんのふしぎがあろうか。
これでもわかるとおり、まったく金さえあれば、毎日どんなふしぎだって行なえるのだ。
233
中には、ハトの卵くらいもある大きなダイヤモンドが三百個、これも驚くほど大きなルビーと、長さ十五センチばかりもある棒型エメラルドが、それぞれやはり三百個ずつ、まだそのほかに三メートルもある真珠の首飾りが三十本などが、ぎっしりつまっています。
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