『夫婦別姓 ――家族と多様性の各国事情』
ちくま新書
2021年の衆議院選挙のときに争点のひとつとなった「選択的夫婦別姓」。結果としては、すぐに夫婦別姓を推進するほどの票差ではなく、まだまだ道のりは遠いなと感じました。
私が20代のころは「あんたが結婚するころには夫婦別姓が選べるようになってる」と言われたのですが、結婚もしなかったけど、夫婦別姓も実現してないですね。
当時の同級生たちは次々と結婚して名前が変わり、すでに結婚後の苗字のほうが長くなっている人も。彼女たちに葛藤があったのかなかったのかは知りませんが、年賀状とかくるたびに旧姓も書いてくれないと誰が誰だかすぐにはわかんないなと思っておりました。
そんななかで一人、イギリス人と結婚した友人は私と同じ苗字だったんですが、チアキ・ヒラノ・カンバーバッチみたいな名前になっていて(適当なネーミングですみません)、旧姓を捨てることなく、新しい名前というのが新鮮でした。
1980年代ごろから2000年代にかけて各国とも法律を変更しており、今では夫婦同姓を法律で規定しているのはなんと日本だけ。
本書では、イギリス、アメリカ、フランス、ベルギー、ドイツ、中国、韓国とそれぞれの国で暮らすライターたちが各国の現状をレポートしています。
結婚しようがしまいが名前が変わることのない中国、韓国、ベルギー。結婚と関係なく好きなように名前を変更できるイギリス。別姓、連結姓のほか、好きな苗字を作ってしまえるアメリカ。
男尊女卑ゆえに母や娘は父系の姓を継ぐことがなく、結果的に別姓であった中国。宗教的な理由などで男性側の姓を名乗る率がまだまだ高い国など、歴史的な経緯もさまざま。
そもそも父系側の姓を男子が継ぐのも、相続されるべき土地や財産があり、相続によって分散させないために名前ごと受け継がれた時代の話。
離婚や再婚などで父親、母親、子供、全員の姓が違うなんていうのが当たり前の国もあったり。「同じ苗字=家族の絆」なんて考えがいかにばからしいか。
最終章の座談会では、経済、法律、政治の分野から選択的夫婦別姓の実現について検証しているんですが、なかなか進まない現状が見えてきて、まだそんなことやってるのかという気分になります。



