at 紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA
井上ひさし脚本によるこまつ座公演。
(そもそもこまつ座が井上ひさし作品だけを上演しているというのも今回初めて知りました。すみません。)
終戦直後の満州、大連が舞台。
今回は予習なし。歴史的にはなかなか難しい設定なのですが、セリフの中でわかりやすく状況が説明されていました。
全編喜劇で笑える作品なんだけど、彼らの状況はどん詰まりで、芝居をすることが希望であり、生きる支えでもあるんですね。
幕が上がって最初のセリフを言う前に和也さん演じる塩見さんが泣きそうな顔でふっと笑うんですが、もうその表情にやられます。
あとコーラスを歌い終わったときの顔がまた良かった。
こういう細かい表現も含めて丸ごとダイレクトに楽しめるのは舞台ならでは。
嫌な奴だった市川新太郎が芝居の稽古を通して変わっていって「シベリアでも芝居をするさ」ってセリフにグッときました。
あんなに書けなかった脚本がひとりの若者を救うためには書けるんだなあというのもおもしろい。和也さんが一彦役だった初演も見てみたかった。
モリエールとチェーホフはさすがにわからないけど、ギリシャ悲劇とか高田馬場とか演劇のパロディが詰め込まれている構成も楽しかった。
こまつ座だけに年配の落ち着いたお客様も多かったです。
トークショーのときにお隣りになったおばさまは「お話がおもしろいのでこまつ座は何度も見に来てる」そうで、私が初めてだと言うと「どなたかお目当ての方が?」と聞かれたので正直に「高橋和也さんの舞台が見たくて」と答えました。
ラフなセーターに着替えて登場した和也さんのナチュラルなかっこよさに私が息を飲んでいると、おばさまが「かっこいいですね」とささやいてくれました。
「でしょでしょ」という気分になって(何様)この日これがいちばん嬉しかったのです。
2023/11/20
『連鎖街のひとびと』
2023/11/18
『五十八歳、山の家で猫と暮らす』

平野恵理子
亜紀書房
2023/11/15
『蕨ケ丘物語』

氷室冴子
コバルト文庫
2023/11/02
『人斬り以蔵』
2023/10/27
『テイラー・スウィフト: THE ERAS TOUR』
『テイラー・スウィフト: THE ERAS TOUR』
at TOHOシネマズ 新宿
アメリカで記録的大ヒットとなっているテイラー・スウィフトのライブ映画。
本当は来年2月の来日公演に行きたかったのですが、一番安いステージサイド席で1万5千、1階席で3万という外タレ価格にビビっているうちにソールドアウトしました。
(全米ツアーのチケット代平均が3万くらいなので日本公演はこれでも安いんですよね。)
2000円という特別料金、週末だけの上映というのもアメリカとほぼ同じ。テイラー・スウィフト側がライブ映画の上映をいかにコントロールしているかということですね。
なるべく大きなスクリーンで、音のいいところでとTCX、DOLBY ATMOS上映回にしましたが、これが大正解でした。
ライブが撮影されたロサンゼルスのSoFiスタジアムのキャパは7万人。映像を見る限り9割の観客席からは豆粒のようなテイラー本人とスクリーンの彼女しか見えません。おそらくライブ会場よりも音、映像とも格段にいい条件で見ているはずです。
(残り1割の恵まれた席は1階ステージ前方ですがここの観客がみんなスマホを掲げて撮影をしていて、せっかくいい席にいるんだからその目で見なよと思いました。)
この上映回は「発声OK」回でもあったのでうるさいのかなとちょっと心配してたんですが、手を振ったり、拍手したり、リズムとったりできるのでむしろ楽しかった。
(この音響とスクリーンで男闘呼組の武道館ライブ上映してほしいと思いました。)
テイラー・スウィフトの歌ってプロムだなと思います。プロムクイーンみたいな曲もありますが、どちらかというとパーティーの隅であこがれの人を見つめている女の子が共感できるような歌。
私がよく聞いていたのは『Red』の頃なのでこの「era」からの曲がやっぱり一番盛り上がりました。あと『blank space』ね。
スタジアムでのライブが映えるように派手なスクリーン映像や大規模なセット、バックダンサーやコーラスも登場しますが、テイラーひとりでギターやピアノの弾き語りする曲も会場中が沸いていてアーティストとしての彼女のすごさを感じました。
2023/10/26
『尺には尺を』『終わりよければすべてよし』
『尺には尺を』『終わりよければすべてよし』
at 新国立劇場
シェイクスピア、ダークコメディ交互上演を観てきました。
別々の作品ですがどちらもセクハラ、パワハラ、不誠実な男性たちに対し、女性たちが結託して一矢を報いるという「ベッド・トリック」を用いた構成で、これを同じ役者、ふたつセットで観るとより楽しめるというのも納得。
しかし「一矢を報いる」と言っても、ひとりは純潔を守り、もうひとりは身代わりになることで夫を手に入れるという、それで本当に幸せなのかというシェイクスピア時代の女性たち。
純潔を守ろうとするイザベラ、ダイアナ役がソニンちゃん。夫を手に入れようとするマリアナ、ヘレナ役が中嶋朋子。『尺尺』でキーパーソンとなるのがイザベラで、『終わりよければ』ではヘレナというのもおもしろい。
シェイクスピアの戯曲を読んだときから楽しみにしていたアンジェロ(岡本健一)。正義と欲望の狭間で苦悩し、セクハラするオカケン、最高でした。イザベラを見る目つきがだんだん変わっていったり、「この女、何を言いだすんだ、やべえ」ってなってるときの表情とか、舞台ならではの近さで堪能しました。
アンジェロってすごく人間味のある役なので後半でただの不誠実な男になってしまうのがもったいない。どうにかならなかったのかシェイクスピア。
戯曲の段階ではいちばん納得のいかなかった『尺尺』のラスト。舞台ではアレンジされていてちゃんとダークコメディになっていて笑いました。裁く側が裁かれる側と同じ罪を犯すのはアンジェロだけじゃない。実は権力者がいちばんのクズじゃないかというオチ。
『終わりよければ』のクズ男バートラム。ヘレナはこんな男のどこがいいのかと思うんだけど浦井さんが演じることで「顔なんだな」と納得しちゃうチャラ男ぶり。
Xで見かけたポストでは学校の観劇で来ていたと思われる女子中学生が「バートラム、かっこいいと思ったけど嫌な奴だった。あの人が改心しないと『終わりよければすべてよし』じゃないよね」と話していたとか。ちゃんと観てますね〜。
また戯曲ではとくにおもしろいと思えなかった狂言回しの場面。特に『終わりよければ』のペーローレスが舞台でみるとすごくおもしろかった。
やっぱりシェイクスピアは舞台で、生きた台詞で見てこそだなあ。このチームでまたシェイクスピア公演があったらぜひ見に行きたいです。
関連Link
『尺には尺を』
『終わりよければすべてよし』
2023/10/25
『白鍵と黒鍵の間に』
『白鍵と黒鍵の間に』
at テアトル新宿
高橋和也のヘンタイ三木さんが予想以上にかわいかった。
プレミア上映会で「80年代はああいう人いたんですよね、この人、大丈夫かなっていう人が。最近はそういう人が生きられない時代なのか見なくなった」と語っていたように、バブルの余波でフラフラと生きていた三木さんのようなおじさんたちは今どうしているのかな。
お調子者なんだけどどこか寂しそうでY子のように気にかけずにはいられない。
ヘラヘラとマラカス振っているところがお気に入り。
池松壮亮くんの一人二役による南と博が交錯する一夜という構成はすごくおもしろかったんだけど、ビルの谷間のゴミ溜めシーンは抽象的すぎかな。
「過去と未来の間」「現実と幻想の間」「白鍵と黒鍵の間」なんとでも解釈できるんだけど、解釈を必要とするところが惜しい。
それに対し、存在感だけで軽々と時空を超えてしまう洞口依子母さんがさすがでした。ラストですべてもっていった『地獄の警備員』を思い出しました。
彼女が『シティロード』に書いていた映画評がすごく好きだったんだけど、Xのツイート(ポストっていうのか)があいかわらずの切れ味で嬉しくなりました。
久しぶりに映画館で映画を見たという気分にさせてくれる映画でした。
演奏シーンがあるのでなるべく音のいいところでと思い「odessa EDITION上映」のテアトル新宿で見たのですが、こういう映画を上映し続けてくれるのがテアトル新宿というのもまた嬉しかったです。


