『自由研究には向かない殺人』
ホリー・ジャクソン
服部京子 訳
創元推理文庫
服部京子 訳
創元推理文庫
2、3年前に話題になったヤングアダルトミステリー。タイトルと表紙が夏休みっぽくて手にとってみました。
『自由研究に向かない殺人』という邦題はすばらしいけれど、原題は『A Good Girl’s Guide to Murder』。
EPQ(Extend Project Qualification)は「夏休みの自由研究」的な軽いものではなく、大学進学に必要な卒論くらいな感じのようです。
女子高生ピッパがこのEPQのテーマに自分の街で5年前に起きた殺人事件を選択し、真相にせまっていくという設定がまずおもしろい。
「私の自由研究に協力してください〜」とEPQを盾に警察や記者、事件関係者にインタビューし、Facebookやショートメッセージを追いかけて失踪した女生徒の交友関係を調査しているのも今どきの若者らしい。(原書発売が2019年で、物語の舞台は2017年。)
調査結果がレポートの形で読者にオープンにされているのも読みやすい。
調べていくうちに被害者である女生徒の裏の顔が見えてきたり、高校生たちの友情が必ずしも優しい関係ではなかったり、小さな街だから誰もが容疑者になりうる立場だったり。
ネットを使ったイジメや、カースト上位しか招待されないパーティーにもイギリスの高校生たちの青春が垣間見れます。特に「高校生の頃、あの子に憧れて、あの子の取り巻きだった自分は好きじゃない」と5年後に語る女性の言葉がグッときました。
犯人の動機が弱すぎるとか、なぜ主人公は危険だとわかっていてひとりで殺人犯に立ち向かいがちなのか(ハリウッド映画のクライマックスなんかでよくある展開)、関係者に与えたその後の影響を思うとハッピーエンドでいいのかとか思ったりはしますが、ヤングアダルト世代のための小説として楽しく読みました。
以下、引用。
43
”わたしにはソーセージ“というのはドイツ人が毎日のように使ってる言いまわしで、“わたしにはどうでもいい”という意味
59
「甘党なんでね。ぼく自身は人に甘くはないけど」
135
高校へ通ったことがある者なら誰でも知っているように、人気のある生徒は二面性を持つ場合がある。
自分自身を苦しめた人物を愛した月日が過去のものとなったいま、当時の自分は好きじゃないとエマが言い放ったことも。
333
自分ではトニ・モリスンについて書かれたものが気に入っているので、それを送ろうと思っている。でもこれだけでは充分ではない。もう一本、新しいのを書かなければならない。というわけで、マーガレット・アトウッドについて書こうと思っている。
484
ジョシュアは魔法の杖を振り「来い(アクシオ)、キャンディ」と叫んで外へ飛びだしていった。
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