
『魔女街道の旅』
西村佑子
山と渓谷社
山と渓谷社
ドイツに残る魔女迫害の歴史跡を訪ねる一冊。「魔女狩り」をテーマにした本を何冊か読んでいるので興味深く手に取ってみました。
元が『ドイツ魔女街道を旅してみませんか?』(トラベルジャーナル)という旅行ガイド的な本だったらしく、著者は魔女の歴史についてもだいぶ調べているようなのにそこらへんの考察が弱く物足りない。
元のガイドブックにはあったのかもしれませんが、写真や詳細な地図もないのでガイドブックとしても物足りない。
魔女の館や慰霊碑などを訪れた感想もブログのコメントの域を出ておらず、ここらへんももったいない気がしました。
ドイツのあちこちに魔女とされた人々のための慰霊碑が建てられていたり、近年になって名誉回復がはかられているというのは初めて知ったので収穫でした。
地域振興目的とはいえ、ヴァルプルギスの夜祭りが復活しているのもおもしろい。魔女はいまや観光資源なんですね。
冒頭の『ヘンゼルとグレーテル』の魔女は本当に悪い魔女だったのか、という疑問は私も感じていたので、著者だけでなく、ドイツの作家にも同じ違和感をもつ人がいるというのは共感しました。
著者は意図的に「魔女狩り」という言葉を使わず、「魔女迫害」としているようなのですが、これはなぜなんだろう。
最終章の児童文学における魔女や「薬草魔女」など、現代の新しい魔女についての話はなかなかおもしろいです。
そもそも日本語の「魔女」とは外来語で、もとは必ずしも女性だけを意味するものではなかったとか、「魔女」といえば反社会的なものであり、いい魔女は存在せず、悪い魔女だけが魔女だったというのは再発見。
「現代の魔女狩り」とはネットのいじめなどをさしてよく使われる言い回しですが、アフリカなどでは現代でも魔女と名指しされた人が私刑で殺害されていたりするので、魔女とは何か、魔女狩りとは何かは今後も追いかけていきたいテーマです。




