『かがみの孤城』
辻村深月
ポプラ社
不老園に行ったときに山梨学院高等学校の前を通りかかり、「甲子園出場」とか「優勝サッカー部」に並んで「本屋大賞『かがみの孤城』辻村深月」という垂れ幕がかかっているのを見て、この学校の出身だったことを初めて知りました。
辻村深月はファンタジーの印象が強いし、作家の出身地を意識したことはなかったんですが、さすがに地元では知られているらしく本屋に辻村深月コーナーもありました。
デビュー作『冷たい校舎の時は止まる』がおもしろかったけど、いろいろ引っかかるところもあってなんとなく保留にしてましたが、原恵一監督のアニメ映画版も気になっているのでこちらを読んでみました。
心を閉ざしてしまった少女が異世界に迷い込み、そこから脱出することで現実を生きる力を手に入れるというのは、古くは氷室冴子の『シンデレラ迷宮』なんかでもありました。
『冷たい校舎の時は止まる』もそうだったけど、閉じこもってしまうヒロインや女同士のイジメの陰湿さに、またかよと前半はやや引き気味で読みましたが、物語が動き出した後半は一気に加速。展開が気になって3日くらいで読了しました。
それぞれの事情で不登校の子どもたちがお互いを理解しあい、助け合うことで未来に向かって一歩を踏み出すっていうのは、現役中高生たちにはすごく共感できるだろうし、力になるんだろうなと思う。
不登校ではなかったけど(それどころか無遅刻無欠席だった)、私も中学生のときは学校に行きたくない時期がありました。
時代が違っても学校に馴染めない子はいるだろうし、学校に限らずどこにでもいじめる子たちもいるだろう。不登校への理解が進んだとはいえ、今のほうが学校は生きづらそう。逃げる場所はいつでも必要だし、それがこの物語では「鏡の中の城」として用意されているという設定も楽しく読みました。
その一方で不満もあって、個人的には「孤城」という設定に萌えるので、城の内装とか鍵探しにもっと凝ってほしかったところ。これだと共有できる場所があればいいわけで、城ではなくシェアハウスでも成り立ってしまう。
ライトノベル並みに主人公が自分の気持ちだけでなく、ほかの登場人物たちの感情までいちいち説明しちゃうのはうるさいし、今どきの中高生だってそこまで読解力なくはないでしょう。
クライマックスの「三月」の章だけで120ページあるんですが、ここも全員の過去が出てくるのは説明過多で構成なんとかならんかったんかとも思う。もっと一気のほうが伏線回収のカタルシスが味わえたのではと。
世界観のネタバレについてはヒントがあちこちにあるのでわかりやすかったというか隠すつもりはあまりなかったんだろうけど、喜多嶋先生とオオカミさまは唐突すぎてわかんなかったです。
(でも○○のデザインってそんないつまでも同じじゃないよね。それ以前にファッションの違いとか……)






