2023/07/09

『オトコだろッ!』聖地巡礼 小淵沢編

『オトコだろッ!』聖地巡礼 甲斐小泉編より続く。

●小淵沢駅

第5話、佳恵さんがお客さんを迎えに行くシーン、第6話、美佐が東京へ向かうシーンで登場。

ドラマ内ではわかりにくいのですが一郎太さん家の最寄り駅は甲斐小泉駅。ここから東京へ向かうには小海線で小淵沢駅まで出て、中央線に乗り換えます。特急で新宿まで約2時間。
第6話で一郎太さんが美佐を送っていったのが甲斐小泉駅、美佐が売店で雑誌を買おうとしているのが小淵沢駅、一郎太さんが美佐を連れ戻しに行って特急を見送ったのも小淵沢駅です。何度も駅が出てきて「あれ?さっき見送ったのに?」となりますが、交通的にはリアルな描写です。
ペンションハート&ハートは小淵沢駅から車で10分ほどの距離なので佳恵さんがお客さんを迎えに行くのも小淵沢駅です。

ドラマ撮影時は小さな木造駅舎でしたが、2017年に二階建て鉄筋の新駅舎にリニューアル。それにともない、駅の位置が少し移動して旧駅舎のあった場所はロータリーになっています。


『オトコだろッ!』第6話


『オトコだろッ!』第5話


小淵沢駅


『オトコだろッ!』第6話


小淵沢駅前ロータリー
場所的にはこの辺ですがドラマに出てきた店舗は建て替えられていました。
右側にちらっと見える清水屋の店舗のみ現存。


旧駅舎があったあたりにはなぜか馬のモニュメント。


『オトコだろッ!』第6話


小淵沢駅中央線ホーム

第6話で美佐が雑誌を買おうとする売店に「生そば」の看板が見えますが、丸政そばは昭和31年(1956年)から小淵沢駅で駅そば店を営業している人気店です。新駅舎リニューアルの際にホーム上の店舗はなくなりましたが、現在は改札側に店舗があります。


『オトコだろッ!』第6話


小淵沢駅


『オトコだろッ!』第6話

丸政そば小淵沢店


小淵沢駅 小海線ホーム

●ペンションハート&ハート
ドラマ撮影から35年。ペンションブームも遠い昔。ペンションの多くは別荘や個人の住宅(二拠点用?)に建て替わっていました。そんな中、ハート&ハートが残っていたのは奇跡的。ただ、2023年7月現在、新規の宿泊予約は受け付けていないようです。案内板の看板はありましたがペンション前の看板は外されていました。HPを見ると2022年12月までは営業していたようですが。「佳恵さん……」と心の中でつぶやいてきました。


『オトコだろッ!』第4話


ペンションハート&ハート



『オトコだろッ!』第2話


ペンションの周囲もだいぶ雰囲気が変わっていますが
屋根の形が特徴的な住宅が残っていました。

●小淵沢
ドラマ放映時もあんなに「ギャルギャルギャル」状態だったかあやしいものですが、平日ということもあって人通りはほとんどありませんでした。そもそも小淵沢駅から車移動が基本なので歩いているもの好きは私くらい。

テニスコートや乗馬クラブなどは今でもありますが、ドラマ内に出てきた場所が残っているのか、だいぶ雰囲気が変わっているのでわかりませんでした。
ドラマ内で店舗の名前が確認できたのが「エルパソ」と「ラヴィアンローズ」。案内板に名前が残っていましたが、今では別荘地帯になっているので跡地を特定できませんでした。


『オトコだろッ!』第3話


『オトコだろッ!』第3話
暴走族がバイクで乗り回しているのが「エルパソ」。

『オトコだろッ!』第2話
「ラヴィアンローズ」成二と晴彦がギャルと一日中遊んでいた
テニスコートがあります。


かすれてしまってわかりにくいですが
案内板に「ラヴィアンローズ」の名前があります。

●すみれ荘跡地
唯一特定できたのが「すみれ荘」跡地。Googleマップにはテニスコート跡が写っていて衝撃的なのですが、帰宅後に気がついたので現地で確認できませんでした。


『オトコだろッ!』第3話
「すみれ荘」の看板が見えます。


Googleマップ 2023年3月撮影


『オトコだろッ!』第3話
アッコちゃんが美佐とすれ違うシーン。


Googleマップ 2023年3月撮影
テニスコート跡が衝撃的。

●寺崎コーヒー 小淵沢店
『オトコだろッ!』とは何の関係もありませんが、ペンションハート&ハートの近くにあります。甲府の人気店の3号店が2022年11月にオープン。平日にもかかわらずここはお客さんがとぎれることなく、落ち着いた空間にラズベリー&チョコマフィンおいしかったです。


寺崎コーヒー 小淵沢店




●リゾナーレ八ヶ岳
こちらも『オトコだろッ!』とはなんの関係もありませんが、小淵沢駅から無料シャトルバスが出ているので移動の拠点としておすすめです。周辺もオシャレな飲食店がいくつかあります。ここからハート&ハートまでは徒歩で40分ほどでした。


リゾナーレ八ヶ岳
突如として登場するシャレオツ異空間。
無料シャトルバスで小淵沢駅から5分。

小淵沢周辺は廃墟も覚悟していましたが寂れているというよりはリゾート地ではなく静かな別荘地帯に変化しているという感じでした。ドラマ内で建てていたログハウスやコテージ風の建物もありますが最近は床暖房、薪ストーブ完備のモダンな別荘のようです。35年の変遷に思いをはせながら歩いてきました。






●吐竜の滝
第7話、成二と美佐がぬいぐるみを流しているのは吐竜の滝と思われます。
第1話の鉄橋は吐竜の滝の近く、川俣川にかかる小海線の鉄橋ではないかと予想。
同じく第1話で功が女の子を助けた川も川俣川渓谷あたりではないでしょうか。
車でないとアクセスできない場所にあるので今回は回れませんでした。


『オトコだろッ!』第7話


『オトコだろッ!』第1話

『オトコだろッ!』聖地巡礼 甲斐小泉編

 1988年に放映された西田敏行、男闘呼組主演のテレビドラマ『オトコだろッ!』。

八ヶ岳のペンション周辺が舞台とは知っていたのですが、具体的には小淵沢、甲斐小泉あたりがロケ地だと気づき、Googleマップを眺めること数日、だいたいの撮影地を特定できたので今さらながら聖地巡礼してきました。

●甲斐小泉駅
第1話、6話、7話に登場。
ドラマ撮影時は赤い屋根、白い壁の木造駅舎でしたが2003年に改築。


『オトコだろッ!』第7話


甲斐小泉駅

2020年の無線式列車制御システム導入に伴い下り線ホームが廃止。現在は旧上り線ホームに両方向の列車が発着します。
第1話で4人組が殴り合っていた下り線ホームは跡だけ残っていました。

『オトコだろッ!』第1話


旧下り線ホーム

甲斐小泉駅は小海(こうみ)線の小さな無人駅です。
2両編成のかわいい列車でふつうに3分ほど遅れて小淵沢駅を発車しました。
Suicaも設置されておらず、行きは小淵沢駅で切符を買って乗車、帰りは列車に乗るときに整理券を取り、小淵沢駅で支払いをする方式でした。

『オトコだろッ!』第6話


上り線ホーム


『オトコだろッ!』第7話


小海線

●水車
ドラマ内で何度か登場する水車は現存していました。
菊雄さんと小百合さんが「水車小屋から手をつないで出てきた」場所です。

ドラマでは獣医の先生の家の前にも水車が写っていますが、「小荒間には13基の水車がありましたが、現在、峡北地区(北杜市・韮崎市)に古くから残されている水車はこの1基だけ」だそうです。引用元はこちら


『オトコだろッ!』第2話

水車

●一郎太さん宅
ドラマ撮影時も現在も民家なので具体的な場所と住宅の写真はふせます。
かやぶき屋根ではなく建て替えられていましたが、ブロック塀の形、畑から見える甲斐駒ヶ岳と赤い屋根の建物などに面影が残っていました。
ご迷惑にならないように心の中で「一郎太さん……」とつぶやいてきました。

『オトコだろッ!』第1話


『オトコだろッ!』第1話


『オトコだろッ!』第1話




このあたりを35年前に4人組が駆け回っていたのかなと
ひとり勝手に感動してきました。

●富士見坂
功がバイクをかっ飛ばしたり、軽トラックが走る道沿いに何度か登場する「富士見坂」の看板。2012年6月撮影のストリートビューには看板が残っていましたが、現在では住宅地になっており看板もなくなっていました。
ただ、この坂からの眺めが第1話エンディングの空撮シーンだと思われ、八ヶ岳を背景に田畑が広がる風景には面影がありました。個人的にはこの景色を現地で見れたのが一番嬉しかったです。


『オトコだろッ!』第2話


『オトコだろッ!』第4話


Googleマップ 2012年6月撮影


「富士見坂」の看板はなくなっていました。


『オトコだろッ!』第1話


『オトコだろッ!』第2話


同じ場所からの撮影ではないのでわかりにくいですが、
斜めの支柱がある電柱が残っていました。

●ペンションアルプ
ロケ隊の宿泊場所としてクレジットされているペンションアルプ。
当時の雑誌記事では高橋和也が「アルプのご飯がおいしかった」と語っています。
第6話では「ペンションアルプの親父が」とセリフに名前がでてきます。

ネットの電話帳で調べたところ2000年版には名前が掲載されていますが、2007年版には名前がなかったのでその間に閉業したものと思われます。
小荒間地区の住所を訪ねてみると企業の研修センターが建っていました。
(民家ではありませんがネット上に研修センターの住所が公開されていなかったので詳細はふせます。)
『オトコだろッ!』第7話

●みどり湖
第2話、第3話の暴走族との対決シーン、第6話の晴彦と晶子のデートなどに登場。
湖といってますが灌漑用のため池です。
現在は立ち入り禁止になっており、桟橋も渡れず、水際まで近づくこともできませんでした。
『オトコだろッ!』第2話

みどり湖

●小泉小学校
第4話で一郎太に追いかけられた4人組が飛び込む小学校。
第5話で喜芳が義母さと子を送っていく場面で写っている建物もこの小学校です。
2013年に統廃合のため閉校。現在は八ヶ岳文化村として残っていました。


『オトコだろッ!』第4話

八ヶ岳文化村

『オトコだろッ!』第5話




二宮尊徳像がグラウンドの隅に残っていました。
グラウンドには入れましたが校舎内の利用には予約が必要そうでした。

●三分一湧水(さんぶいちゆうすい)
夜のシーンなのでわかりにくいですが第3話で美佐が座り込んでいる水辺が三分一湧水だと思われます。現在は周辺もふくめて公園として整備されています。


『オトコだろッ!』第3話


三分一湧水


そば処三分一で十割そばを食べました。

ドラマを見ていてもわかるように甲斐小泉駅からみどり湖にかけての下り坂は田畑が広がっています。八ヶ岳から流れる湧き水をこれらの農地に平等に三分割して流れるようにした仕組みが「三分一湧水」です。という歴史を三分一湧水館で知りました。
電車の待ち時間が1時間以上あったのでそば処三分一のお蕎麦を食べによったのですが、ここの資料館と展望ホールがよくできていて勉強になりました。ずっと農地の中の道路を歩いてきたので農業用水を奪い合った歴史が興味深く感じました。


『オトコだろッ!』第7話

※甲斐小泉駅のあたりは三分一湧水館と平山郁夫シルクロード美術館内のカフェ、駅前のカフェくらいしか休憩できるところがありません。
※Googleマップ計測では甲斐小泉駅~みどり湖まで県道609号沿いを徒歩30分でしたが、写真を撮りながらフラフラ歩いていたこともあって実際には1時間かかりました。
甲斐小泉駅→みどり湖はずっと下り坂なので、帰りは当然ずっと上り坂です。車利用が楽だと思いますが、みどり湖周辺は駐車場等見当たりませんでした。
※小海線は本数も少ないので事前に乗り継ぎの確認は必須です。

長くなったので『オトコだろッ!』聖地巡礼 小淵沢編に続きます。

2023/06/26

『南仏プロヴァンスの昼下り』

南仏プロヴァンスの昼下り

『南仏プロヴァンスの昼下り』
ピーター・メイル
池 央耿 訳
河出書房新社

「プロヴァンス・エッセイ3部作」(と帯に書いてあった)3冊め。
『南仏プロヴァンスの12か月』が1989年。
そして『南仏プロヴァンスの昼下がり』が1999年。
8年ぶりなのは理由があり、前2作が引き起こしたプロヴァンスブームにより、プロヴァンスの観光地化が起こったと批判もされたという著者。それも一因だったかもしれないが仕事の都合でアメリカで4年間暮らし、プロヴァンスに戻ってきたところから今回の3作めが始まっている。
そういった事情もあるのか、移住してきた外国人という距離感がちょうどよかった前2作に比べると、観光ガイド感が増しているというか、プロヴァンス紹介エッセイ感が強めでした。
原文のニュアンスがそうなのか読みにくい漢字が使われていたり訳もやや固め。
それでもフォアグラ、オリーヴオイル、トリュフにワイン、あいかわらず料理がおいしそうなのと料理に対するプロヴァンスの執念がおもしろい。
ロクシタンがプロヴァンス出身の企業だと今さら知りました。
「自分は永遠の観光客である」とか「大切なのは楽しく生きること」という著者の姿勢は見習いたい。


2023/06/15

『オリエント急行の殺人』

オリエント急行の殺人 ((ハヤカワ文庫―クリスティー文庫))

『オリエント急行の殺人』
アガサ クリスティー
山本 やよい 訳
ハヤカワ文庫

ポアロシリーズ8作目。1934年の作品。
私が最初に読んだアガサ・クリスティーはたぶん『オリエント急行の殺人』で中学生の頃だったと思います。ポアロの気取ったキャラクターが好きになれず、えんえんと乗客の証言が続く展開も退屈だった印象があります。
その後、翻訳違いを3、4冊くらい読んでいるでしょうか。今回は2011年の新訳にしてみました。
あらためて読んでみると、イギリス人の大佐、ロシア人の公爵夫人、ハンガリー人の外交官夫婦、イタリア人のセールスマンと国籍、身分とも様々な乗客たちが乗り合わせているところにこの作品のおもしろさがあるわけですが、中学生の私にはアメリカ人とイギリス人の区別もつかず、この国際色はわからなかっただろうなあと思います。
オリエント急行自体がイスタンブールからイタリアを経由してフランスへと向かう路線で、今回のシンプロン・オリエント急行が雪で立ち往生するのはベオグラードを出たあたり、ユーゴスラビアになります。警察がすぐに乗り込んでこない場所であるから成立する話でもあり、ここらへんも中学生の私にはわからなかった。
アームストロング誘拐事件は、リンドバーグ愛児誘拐事件をモデルにしてますが、1932年に起きた事件を1934年に小説にしてしまうなんて、なかなか不謹慎でもあります。
ちなみにリンドバーグの事件は犯人は逮捕、処刑されていますが、冤罪説やリンドバーグ関与説などもあって謎も多い事件なのだと今回あらためて知りました。
ポアロの台詞に出てくる決して現れないムッシュー・ハリスとは、ディケンズの『マーティン・チャズルウィット』のハリス夫人のことだそうです。
「幸先のいい名前だ」ポアロは言った。「わたしはディケンズを読んでいるのでね。ハリスか。だったら、たぶん現れないでしょう」
映画の印象で犯行場面があるような気がしてたんですが、実際にどのように殺人が行なわれたのかという描写はないんですね。乗客の証言とポアロの推理、オリエント急行という舞台だけで描かれる物語。
犯人ありきの作品でありますが、巻末で有栖川有栖が解説しているように「この作品は、ある程度ミステリに予備知識がある人間に対してこそ効果を発揮する」。
怪しい容疑者が何人も登場し、証言や証拠から彼らの嘘と真実を見極め誰が犯人かを推理する、ミステリの大前提をあっさりと覆してしまってるわけです。そこがアンフェアと言われるところでもあり、おもしろいところでもある。
アガサ・クリスティー作品全部に言えることですが、私にとっては犯人が誰であるかはあまり問題ではなく、今回も乗客たちのキャラクターを楽しみました。特にハバード夫人が何度も「うちの娘が言うには」と楽しそうにおしゃべりしている真実に気がつくと震撼しますね。

2023/05/17

『明日の田園都市』

明日の田園都市 (SD選書 28)

『明日の田園都市』
E.ハワード
長 素連 訳
鹿島出版会

ショッピング・モールが日常的になってきたのでだいぶモール熱もおさまってきましたが、まあ、これは読んでおかねばということで。

最初の『明日』が出版されたのが1898年、底本が1965年版、この日本語訳が1968年の出版ということで、非常に読みにくい訳でした。(山形浩生による新訳版が2016年に出ていますが図書館にはなかった。)

都市計画というよりは社会主義的な経済の話が多く、当時のイギリスの状況や地方税がよくわからないのでほとんど理解できないままなんとか読了。

ほかの書籍の引用で読んでいたときはハワードの田園都市構想は夢物語みたいな都市計画だと思っていたんですが、レッチワースやウェルウィンなど実験都市もつくられ、イギリスのみならず各国の都市計画に影響を与えてるのだと今さらながら知りました。

農村と都市が融合し、職場と住居が近接し、学校、図書館、商業施設が歩いていける範囲にある。これがどこらへんまでちゃんと実現しているのか知りたいところです。

田園都市が同心円で構成されているところもSF的で惹かれていたんですが、レッチワースなど実際の都市は必ずしも同心円なわけじゃないんですね。概念的なものだろうから当たり前なんですけど、勝手にガンダムのコロニーみたいな都市をイメージしてました。