『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』
三宅 香帆
集英社新書
説明不要の2024年のベストセラー新書。
本は読めなくともこの本は読めるんかい、と少し冷めた目で見てましたが、売れてる本には理由があったりするので手にとってみました。
新書らしいタイトルは釣り要素が多めですが、実際の内容はまえがきにもあるとおり「近代以降の日本の働き方と読書の関係」。まあ、これがタイトルだと売れないからね。
明治時代から2000年代までの「労働と読書の関係の歴史」は予想以上におもしろかった。
自己啓発本の源流は明治時代にはすでにあったとか、「片づけ本」が「自己啓発書の一種」であると言っているところとか、なるほど。
2010年代以降の「読書がノイズとなる社会」あたりから論がやや急になり、ここらへんはあまり納得できなかった。
かつては自分を向上させるものとして労働に必要だった「教養」は、「情報」だけを搾取したい現在においてはノイズとなるというのは理解できなくもないんだけど、結論が「働いていても本が読める社会」、「ノイズを許容する」、時間的にも精神的にも余裕のある働き方をめざそうという、ごく当たり前のところに着地したのもなんだか。
私が一番本を読んでいたのは、学生時代を別にすると、仕事が最も忙しい時期だったんだけど、あれも仕事の一貫として読書が必要だったから、なんだろうか。
全編にわたってフューチャーされている『花束みたいな恋をした』はずっと敬遠してきたのだけど、そろそろ見てみようかと思う。
最終的に「本が読みたい」テンションは上がったので良しかと思います。
(こういうところ自己啓発本のエナジー効果っぽいよな)






