『百年の孤独』
G・ガルシア=マルケス
鼓 直 訳
新潮社
文庫が発売されて話題の『百年の孤独』。
文庫が出る前に読もうと図書館で借りたものの読み終わらず、文庫を買おうと思ったらあっという間に売り切れ、重版を待つ間に読み終わりました。
約1ヵ月かかって読了しましたが百年(150歳を超える登場人物がいるので実際にはもっと長い)に渡る一族と村の物語なのでこれくらいのペースで読むのがちょうどいいかと思われます。
私がこの小説を初めて意識したのは映画『彼女を見ればわかること』。
キャメロン・ディアス演じる盲目の女性が『百年の孤独』を読んで(もちろん点字で)、「人生の真理がやっとわかったわ」みたいなことを言う場面があるんですが、この映画の監督ロドリゴ・ガルシアはガルシア・マルケスの息子なんですね。
文庫版がめちゃくちゃ売れていますが、全編ガルシア・マルケス節満載で、いきなりこれを読んだ人ははたしてついていけるのだろうか、なんて読了した者にだけ許される上から目線で言ってみますが、最初の一行からこれから起こることすべてが予言されているような語り口は『予告された殺人の記録』みたいだし、100歳を軽く超える人物の長い長いホラ話のようなストーリーは『族長の秋』を思い出させるし、死者が普通に家の中を歩いていたり、人が昇天してしまう描写は「魔術的リアリズム」がすでに完成されています。『エレンディラ』を思わせる少女も出てくる。
(12ページ)
長い歳月が流れて銃殺隊の前に立つはめになったとき、恐らくアウレリャノ・ブエンディア大佐は、父のお供をして初めて氷というものを見た、あの遠い日の午後を思い出したにちがいない。
7世代にわたる家系の中で祖父母の名前を受け継ぐので、アルカディオが5人、アウレリャノが5人+17人、レメディオスが3人、ウルスラとアマランタと名前をつぐアマランタ=ウルスラという娘がでてきたり、似たような名前が何度も出てきますが、まあ、これは冒頭に家系図があるのでなんとかなります。アルカディオとアウレリャノは世代が変わってもほぼ同一人物みたいなものだし。
むしろブエンディア家以外の登場人物が「マグニフィコ・ビズバル大佐って誰だっけ」という感じで混乱。
(219ページ)
長い一家の歴史で似たような名前が執拗にくり返されてきたという事実から、彼女はこれだけは確実だと思われる結論を得ていたのだ。アウレリャノを名のる者は内向的だが頭がいい。一方、ホセ・アルカディオを名のる者は衝動的で度胸はいいが、悲劇の影がつきまとう。
時系列も最初にすべてが予告されたかと思うと、一歩進んで二歩下がる。ウルスラが言うように「時は少しも流れず、ただ堂々めぐりをしているだけ」のように、百年の時をゆっくりと螺旋を描きながら崩壊していくブエンディア家とマコンド村。これがつまらないかというと、真夏の悪夢のようでおもしろかったです。
(234ページ)
「こういうことには、わたしは慣れているんだよ!」とウルスラは叫んだ。「時間がひと回りして、始めに戻ったような気がするよ」。





