
『アラビアン・ナイト 下』
ディクソン 編
中野好夫 訳
中野好夫 訳
岩波少年文庫
収録されているのは『アリ・ババと四十人の盗賊』など6編。
『シナの王女』は東洋文庫版だと『カマル・ウッ・ザマーンの物語』というタイトル。
『魔法の馬』は『黒檀の馬』。
『ものいう鳥』は『妹をねたんだ二人の姉』。これは原写本の見つかっていない「孤児の物語」のひとつ。
西尾哲夫『アラビアンナイト』(岩波新書)によると、いずれもガラン版に収録されている代表的な物語です。
しかし、下巻も長かった〜。
基本的に台詞が回りくどくだらだらと長い上に、ストーリーがどんどん別の話へと脱線していってメインの話が一向に進まない。かと思えば苦労して助けた王子がいきなり溺れ死んだり、話の展開にさっぱりついていけなくて苦労しました。
やはり西尾哲夫『アラビアンナイト』によると、これは「枠物語」という形式で、「大物語の中に小物語が埋めこまれ、さらにその小物語がいくつもの支話に枝分かれしていく入れ子式の構造」なのだそうです。
この中では『アリババ』は群を抜いてわかりやすい展開でおもしろい。写本からの翻訳ではなく、聞き書きを再構成したらしいという成立過程の違いでしょうか。
『アリババ』は小学生の頃、劇の会!で演ったことがあるんですが、クラスの中でも華やかで目立つ顔をした女の子がモルジアーナ役で、きれいな衣装で剣の舞を踊ったのを覚えています。
モルジアーナは侍女だと思っていたのですが、「女奴隷」なんですね。彼女の活躍に感謝して、アリババは奴隷の立場から解放しています。
あと、アリババの兄カシムが盗賊に殺されたあと、残された兄嫁とアリババが結婚しているのに驚きました。アリババにはすでに奥さんがいるので、2人目になるんですが、遺産相続とかも含めてよくあることだったんでしょうか。
もともとの『アラビアン・ナイト』にはけっこう際どい場面も多く、子供向け本ではカットされているらしいのですが、『魔法の馬』には王女がインド人にさらわれ、襲われそうになる場面が出てきます。
『漁師と魔物』でも妃が浮気するのがインド人となっていて、『アラビアン・ナイト』はインド民話も多く含まれているはずなのに、なぜインド人が悪役なのか。
『シナの王女』では、王女が拒絶した求婚者たちは首を切られてその首が城門にさらされたり、『ヘビの妖精と2ひきの黒犬』では、回教徒である王子以外の偶像信者たちがすべて石にされたり、いろいろと引っかかる描写もありました。
『アラビアン・ナイト』は翻訳によってもいろんな版があるらしいのですが、岩波少年文庫版でこれだけ読むのに苦労したので、本編はもう十分かな。成立過程の歴史や文化的な側面には興味があるので、もう少し調べてみたいと思います。






